箸職人が作った「ステッキ」の話
箸づくりを始めた翌年にスネークウッドの存在を知り、いつか自分の手でステッキを作りたいと考えていました。3年程して良材を入手し第一号を製作、以来、黒檀やレースウッドなどを用い試作しては眺めていました。
そんな私が、2019年6月に交通事故に遭遇します。左足首を骨折、リハビリを兼ねた歩行に自前のステッキが活躍します。
この時の体験で最初に実感したことは、ステッキを使うと歩く速度が遅くなることでした。
少し具合が良くなるとステッキが邪魔に、そのまま手に持って歩きだすと、ふらつきを抑え身体も安定し、リズムをとるようにすると歩行速度も速くなりました。
その後もステッキを持ち歩きした中で、自分なりに納得できる形状のステッキが誕生しました。
「東京木杖」の誕生
一番の特徴は、柄の部分となる持ち手にあります。四角にした板状の平面上部をそのまま残し、握る部分の下側を楕円形にくりぬいています。
この形状はステッキの柄を包み込むように持つことで、薬指と小指の機能である握る力を十分に発揮させることになり、使用時の安定性がより向上します。
杖の先端でとらえた感覚を、手首でしっかり感じ取ることも出来ます。くりぬいた楕円部分は、腕にかければちょっとした手作業も可能となります。
柄の先端部は長めに加工しています。歩行中の信号待ちでは両手を添えての小休止の際、さらにはしっかり握って、ステッキを支えに背筋を伸ばして休憩をとるのにも役立ちます。
支柱部分は、九角形に成形しています。
九は、中国の古代の思想による「陰陽説」に基づいた陽の数の中で最大の極数であり、陽を象徴する最も尊い数とされています。
意匠権設定登録:登録番号 第1665952号 登録日 令和2年7月28日
東京木杖としたのは、ステッキの形がTokyoの頭文字のTに似ていることから発想しました。
素材としては、スネークウッドの他に、黒檀、青黒檀、紫檀、レースウッドがあります。
お試し使用も準備できますので、お問い合わせください。
日々の外出にはステッキを携帯しています。ステッキを手にすると自然と背筋が伸び、歩行ももスムーズに、そして時々ステッキに戻る。信号待ちや疲れた時には両手を添えて小休止も、正に”転ばぬ先の杖„として使用しています。
こんな体験から、皆様にもお勧めしたいと考え、ご紹介させていただきます。
簡易な包装による販売について
自宅が作業場を兼ねており、全工程を一人で行っております。興味のある方には、「不定休(多々不在の時あり)ですが、事前に電話等で確認されてからお出でください。」
オーダーメイドもできます。在庫品の販売を含めて簡易な包装にさせていただいております。
価格は素材・形状などにより異なります。下調べをしてからお出でくださることをお勧めします。